小説「サークル○サークル」01-368. 「加速」

「隣いいかしら?」
アスカの声にヒサシははっとして、声の聞こえた方を見た。
「君か」
「お久しぶりね」
「ああ、そうだね」
アスカはオーダーを聞きに来た店員にシャンディーガフを頼む。すると、すぐにお通しのスープとおしぼりが運ばれて来た。
「君がここに来たということは、何か用があるってことだろう?」
「その通りよ」
「レナのことを諦める気になってくれた?」
「まさか。私は別れさせ屋よ。一度請けた依頼は必ず完遂するわ」
「それじゃあ、俺の立場としては困ることだらけだ」
「どうして? 他にも女の子はいっぱいいるんでしょう?」
「いっぱいいることと、レナを手放すことは意味が違う」
「どう違うのかしら?」
「角度かな」
「角度?」
眉間に皺を寄せ、ヒサシを見るアスカにヒサシは微笑んだ。
「そう。物の見方の角度」
アスカはヒサシは何を言っているのだろう、と思った。アスカがそんなことを思っている間に、アスカの前にシャンディーガフが運ばれて来た。

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