小説「サークル○サークル」01-374. 「加速」

「ユウキとですか?」
 翌日、アスカは早速レナに会っていた。ヒサシに先手を打たれる前に動いたのだ。ヒサシは今頃会社だ。アスカはバイト終わりのレナを待って、近くのカフェにやって来ていた。
 広々とした店内にはゆったりとした高級そうなソファが並べられ、来ている客もスーツをパリっと着こなした紳士的な人が多かった。
 そんな中で、アスカとレナは幾分か浮いている。
「ええ、彼に会わせて欲しいの」
「……」
 レナはアスカの思った通り、良い顔はしなかった。
 レナの不倫をやめさせようと、ユウキが何度もレナに接触しているのだからそれは仕方がない。しかし、今回の作戦にはユウキの協力は必要不可欠だった。
「彼と別れたいんでしょう?」
「それはそうなんですけど」
「ユウキ君とあれからちゃんと話してないのね」
「……」
 図星だったようで、レナは何も言わなかった。
 レナが話し出すのを待ちながら、アスカはアールグレイに角砂糖を入れた。スプーンでかき混ぜると、バラバラと角砂糖が溶けていった。

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