小説「サークル○サークル」01-140. 「加速」

 シンゴは落ち込んでいた。あの時、やっぱり止めておけば良かった、と何度も後悔の念が頭を過る。しかし、今更後悔したとて、遅いのも事実だった。
 公園のベンチで一人寂しくぽつんと座っているシンゴの溜め息だけが、冷たい空気に溶けていく。今日何度目かの溜め息をついた時、隣に気配を感じた。ユウキだった。
「どうしたの?」
 シンゴは隣に座ったユウキを見て言った。
「それはこっちのセリフですよ。どうされたんですか? 溜め息ばっかりついて」
「あぁ、見られてたんだ」
 シンゴは苦笑しながら、前を見た。だだっ広い公園はがらんとしていて、なんだか寂しく感じる。
「何かあったんですか? 話くらいなら、俺でも聞けますよ」
 ユウキは心配そうにシンゴの顔を覗く。
「これ、どうぞ」
「ありがとう」
 ユウキがコンビニで買ってきた温かい缶コーヒーをシンゴは受け取ると、プルタブを引っ張った。温かな液体が身体の中を流れていく。シンゴはほっと一息つくと、話し出した。

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