小説「サークル○サークル」01-157. 「加速」
- 2012年09月12日
- 小説「サークル○サークル」
- サークル○サークル
アスカは目の前の書類に何度も目を通す。次に自分がしなければならないことは、ただ一つ。レナとの接触だ。接触して、ヒサシとの不倫をやめさせる方向へともっていかなければならない。ヒサシの行動パターンや性格はある程度把握している。その情報を元にレナにどのようなアプローチをかけるかを随時判断するのだ。ここが一番の山場だと言える。
レナが不倫をしていることをどう思っているのかによっても、別れさせる方法は異なってくる。大概の場合、浮気相手は不倫を悪いことだとあまり思っていないことが多い。不倫をしている女の多くは、奥さんと彼氏が別れることを願っているのだ。奪えるものならすぐにでも奪いたい、そうと思っているのが大半だ。
けれど、時に罪悪感に苛まれながら、不倫をしている女もいる。ごく少数と言っていいが、そういった女の場合、前者よりもいくらか簡単に別れさせることが出来る。
「どうするかなぁ……」
アスカは煙草の吸殻を灰皿に押しつけて、溜め息をつく。彼女はしばらく思案した後、紅茶を淹れる為に席を立った。
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