小説「サークル○サークル」01-187. 「加速」

 退屈だな、とアスカは思うけれど、レナの観察を怠るわけにもいかない。どんなタイプなのかをしっかり見極められれば、接触した時の攻略方法も自然と見えてくる。
 アスカ煙草に手を伸ばす。けれど、煙草の箱は空になっていた。
「……」
 からっぽの煙草の箱を見て、アスカは溜め息をついた。カップの中にはまだホワイトモカが残っている。
 アスカはホワイトモカを一気に飲み干すと、飲み終わったカップを返却口へと持って行った。
「ごちそう様でした」
 アスカが声をかけると、少し離れたところから、「ありがとうございました」という声が飛んできた。
 アスカは初日の偵察を終えると、まっすぐに帰路へと着いた。
 何かと疲れる1日だな、と内心ごちた。

 アスカが帰宅すると、シンゴが夕飯の準備をしていた。
「ただいま」
 アスカが言うと、キッチンにいたシンゴが漸く気が付いたようで、キッチンから少し顔をのぞかせた。
「おかえり。あともう少しで夕飯出来るよ」
 シンゴは笑顔でアスカを出迎えた。

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