小説「サークル○サークル」01-188. 「加速」
- 2012年11月13日
- 小説「サークル○サークル」
- サークル○サークル
「うん、ありがとう」
アスカはそう言うと、コートを部屋にかけに行く。
アスカはなんだか最近の自分とシンゴの関係に不思議な安心感を得ていた。それは今まで感じたことのない安心感だった。
けれど、アスカがそういった安心感を得られているのは、ヒサシの存在が大きいこともわかっていた。ヒサシとの一件があってから、罪悪感からシンゴに対する態度が自分でも優しくなったと自覚していた。そんな時、シンゴが仕事にやる気を出し、会話が増えた。いろんなことが重なった結果だったが、それが良かったのか悪かったのか、アスカにはわからない。ただ夫婦関係を立て直すという意味では良かったと言える。しかし、アスカの恋心から見れば、それは良いことだとは言い切れなかった。ヒサシへの想いが募っていくのに、シンゴと関係が良くなれば、万が一、ヒサシの下へ行くことになった時、シンゴを必要以上に傷つけてしまうことになる。それはあんまりにもひどい仕打ちのような気がしていた。
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