小説「サークル○サークル」01-244. 「加速」
- 2013年03月11日
- 小説「サークル○サークル」
- サークル○サークル
「不倫って難しいのよね。お互いが結婚していたら、納得もいくかもしれないけど、片方が独身だと独身の方はいつだって待たされているような気になる。だけど、その不満を口にすれば、この関係が終わってしまうかもしれない……。そう思うと、何も言えなくなってしまうのよね」
「そうなんです。だから、私……。彼に不満を言ったことは一度もありません」
「それが賢い立ち回り方だと思うわ。彼を失いたくないのならね」
「でも……どこかでわかってるんです」
「えっ……?」
レナの言葉にアスカはわざと聞き返す。レナが続ける次の言葉をアスカはわかっていた。
「いつかは彼と別れなきゃいけいなってこと」
アスカはレナのその言葉を聞いて、にっこり微笑んだ。
「わかってるんじゃない」
「わかってます。でも……今はまだ別れたくない」
「思う存分、納得の行くまで付き合うといいわ。彼から別れを告げられるのがいいか、自分から別れを告げるのがいいかにも寄るけれど」
アスカはそう言って、優しい眼差しをレナに向けた。
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