小説「サークル○サークル」01-283. 「加速」

 もっと時間はゆっくり流れるものだと思っていた。けれど、夜はあっという間にやって来て、シンゴは今、ユウキとともにアスカの後をつけていた。
「こんなことして、本当に大丈夫なんですか……?」
 あれだけ尾行する時は一緒にさせてくれと言っていたユウキだったが、いざその時が訪れると、どうやら落ちつかないようだった。
「バレなければね。まぁ、あまりオススメは出来ないけど」
「俺がもし尾行する時、シンゴさん、ついてきてくれませんか?」
「仕事が修羅場じゃなければ……。一応、考えておくよ」
 シンゴはそれきり黙った。そんなシンゴを見て、ユウキの緊張感は更に高まる。
 アスカは駅ビルの入口でレナを待っているようだった。
 辺りをキョロキョロしたり、ケータイを気にしたりしいている
 シンゴは腕時計を見た。腕時計は十九時の数分前だった。きっとアスカはレナと十九時に待ち合わせをしているのだろう。
「あ、来たみたいです」
 ユウキの声にシンゴは顔を上げた。

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