小説「サークル○サークル」01-389. 「加速」
- 2013年12月26日
- 小説「サークル○サークル」
- サークル○サークル
家に帰って来ても、まだアスカは寝ていた。シンゴはいつものように朝食の準備を始める。
シンゴがお湯を沸かしていると、寝室のドアが開く音が聞こえてきた。
「おはよ……」
アスカはぼーっとしたまま、シンゴを見る。
「おはよう。二日酔いは大丈夫?」
「うん」
「コーヒーと紅茶どっちがいい?」
「紅茶」
「顔洗っておいで」
シンゴはアスカにそう言うと、にっこりと微笑んだ。アスカはシンゴの微笑みに小さく頷くと、ぼーっとしたまま、洗面所へと消えていく。
しばらくすると、顔を洗って、さっきよりはすっきりとした表情を浮かべたアスカが戻ってきた。無言のまま、いつもの席に着くと、シンゴが紅茶を運んでくれるのをじっと待っている。
「お待たせ」
シンゴの言葉にアスカは「ありがとう」と答えると、シンゴが席に座るのを静かに待っていた。
シンゴはコーヒーを入れたカップを持って、席に着くと、目の前にある菓子パンを見て「どれがいい?」とアスカに訊いた。
「チョコクリームパン」
あれだけ飲んだのに、やっぱり、アスカはそれを選ぶのだな、とシンゴは内心感心していた。