小説「サークル○サークル」01-390. 「加速」
- 2013年12月28日
- 小説「サークル○サークル」
- サークル○サークル
「じゃあ、僕はメロンパンにしよう」
そう言って、シンゴはアスカにチョコクリームパンを手渡し、自分はメロンパンを手に取った。
「足りなかったら、これも食べていいからね」
シンゴは言って、ベーコンマヨネーズパンを指差した。
アスカは「うん」と答えて、シンゴを見る。二人は黙ったまま、パンの袋を開けると、かじりつき始めた。
時折、パンの袋のカシャカシャという音と咀嚼音がするだけだった。シンゴはぼーっとしながら、食事をするアスカをたまにちらりと見ていたけれど、話しかけはしなかった。
今のアスカに何かを言っても、明確な返答が得られそうになかったからだ。
二人はほぼ同時にパンを食べ終わる。
「もう少し食べる?」
シンゴの問いにアスカはしばらく考え込んだ。
「ヨーグルト食べようかな。シンゴもいる?」
アスカは立ち上がり、シンゴを見た。
「うん、じゃあ、僕も」
シンゴの返事にアスカは冷蔵庫までヨーグルトを取りに行く。アスカはヨーグルトの蓋を取ると、スプーンを添えてシンゴの前に置いた。