小説「サークル○サークル」01-391. 「加速」
- 2013年12月30日
- 小説「サークル○サークル」
- サークル○サークル
こんな当たり前の夫婦の朝をシンゴは幸せだと感じていた。
少し前まではこんな光景は想像すら出来なかった。
ターゲットはレナと別れることを渋っているようだけれど、しっかり別れてもらわなければいけない、と思う。そうでなければ、今の幸せは消えてしまうからだ。
男として自信があればいいけれど、シンゴには男としての自信は皆無と言ってもいい。それくらい、男としての自分に自信がなかった。
ヨーグルトを食べながら、シンゴはふと手を止めた。
「仕事、上手くいきそう?」
「上手くいかせるわ。シンゴにも考えてもらったもの」
「うん、頑張って」
「ありがとう。レナの幼馴染にも協力してもらえることになったし、あとはターゲットの出方を見るだけ」
「そうだね。健闘を祈るよ」
シンゴの言葉にアスカは力強く頷いた。
アスカは食事の後、身支度を整えると、事務所へと向かった。
シンゴはアスカを見送って、大きな溜め息をつく。
男として自信があれば、きっとこんなもやもやした気持ちを抱かずに済むのだろう。
シンゴはもう一度溜め息をつくと、書斎へと入っていった。