小説「サークル○サークル」01-255. 「加速」

アスカのケータイを見て、ターゲットとのやりとりがあれば浮気は継続されていることになる。けれど、ターゲットとのやりとりがなければ恐らく浮気は終わりを告げているだろう。
そこまで考えて、シンゴは「いや、待てよ」と思った。
アスカは仕事柄、用心深いに違いない。きっと、彼女はメールのやりとりをしていたとしても、その履歴が残らないように削除するはずだ。そして、削除したことを悟られないようメール数に違和感がないように細工をするに違いない。
シンゴはかぶりを振った。
そんなことを考えていても、何もいいことなどないのだ。
けれど、考えずにはいられない。
アスカとターゲットとの関係を知りたくて仕方がなかった。
それは嫉妬から来るものなのか、それとも、自分の平穏な生活や幸せを脅かされることに対する不安から来るものなのか、シンゴにはよくわからなかった。
しばらく考えた後、やっぱり……、とシンゴは思う。
このもやもやを解消する為にはアスカと向き合う必要があるのだ。

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