小説「サークル○サークル」01-290. 「加速」
- 2013年06月11日
- 小説「サークル○サークル」
- サークル○サークル
シンゴとユウキはアスカとレナに気付かれないように、少し離れた席に座った。格子状の衝立のおかげで、顔を見られる確率は随分と減ったように感じられた。
「開始早々、なんだか深刻そうな雰囲気だね」
シンゴはアスカの目が仕事モードになっているのを見て、溜め息混じりに言う。
「レナは今にも泣き出しそうですね……」
ユウキはレナがアスカに詰問されているのではないかと、心配そうに言った。
「あの……今更なんですけど、訊いてもいいですか?」
「何?」
ユウキは神妙な面持ちでシンゴを見る。
「シンゴさんの奥さんは別れさせ屋で、ターゲットの男と浮気してるんじゃ……って話でしたよね。レナが奥さんと一緒にいるってことは、奥さんが別れさせようとしている男とレナが不倫している、ということですよね……?」
「ああ、その通りだよ」
シンゴは短く答えて、ソフトドリンクに口をつけた。視線はアスカを捉えたままだ。
「ていうことは、レナが不倫している相手と奥さんが浮気している相手は同じ……」
ユウキはひとつひとつの真実を確かめるように言った。