小説「サークル○サークル」01-294. 「加速」

「何、話してるんでしょうね?」
ユウキはアスカとレナをちらちら見ながら言う。レナは俯き、アスカは両肘をテーブルにつけて、レナを心配そうに見ていた。
「核心に触れる話……かな」
「……そうかもしれませんね」
シンゴは早く切り込んだな、と思ったけれど、二人のあの様子を見ていると、核心に触れていると考えるのが妥当だとも思った。
「レナは……別れるんでしょうか……」
ユウキは下を向き、つぶやくように言った。
「別れると思うよ。アスカは別れさせるのが仕事だから」
「でも……俺がいくら言っても、レナは不倫相手と別れなかったんですよ……」
「だから、プロが別れさせようとしているんじゃないか」
「……」
「アスカは何があっても、別れさせるつもりだよ。相手の奥さんのこともあるし」
「そうですよね……。でも……」
ユウキは言いかけてやめた。シンゴは「でも、シンゴさんの奥さんはその不倫相手と浮気してるんですよね?」という言葉が続くとわかっていた。けれど、シンゴはそのことに敢えて触れなかった。


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