こんばんは☆
Hayamiです。
明日から10月ですよー!
いやー、1年ってホントに早いものですね。
今年はいろーんなお仕事をさせていただいていて、
とっても充実しています☆
肌寒くなってきたので、皆さんも風邪など召されぬよう、
お気を付け下さいね♡
≪お知らせ≫
個人ブログ「Hayami’s FaKe SToRy」にて、
お仕事依頼・作品感想用メールアドレスを設置しております☆
アドレスはhayami1109@gmail.comです。
作品の感想等送っていただけますと幸いです。
メールは直接私のところまで届きます☆
≪番外編のお知らせ≫
番外編「ドライフルーツ・シンキング~マンゴーな過去に~」はもう読んでいただけたで
しょうか?
作家のシンゴの視点で語られるアスカとのなれ初めや、
シンゴが考えていることを物書きとして描いている、というお話です。
全10回となっておりますので、ぜひこちらも併せてご覧下さい☆
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次回もよろしくお願い致します☆
アスカは家に着くと、静かにドアを開けた。
シンゴは寝ているのか、起きて仕事をしているのかわからなかったけれど、邪魔をしたくなかったのだ。
アスカは玄関からリビングへ続くドアを開け、ソファに荷物を置くと、洗面所へと向かう。手洗いとうがいをして、洗面台の鏡に映った自分の顔を見て、溜め息をついた。
疲れ切った顔が鏡越しに自分を見つめている。
アスカはリビングに戻ると、冷蔵庫から牛乳を取り出した。マグカップに注ぎ、電子レンジに入れると、加熱のボタンを押す。
橙色の明かりが灯り、加熱が始まったのをじっと見つめていた。
「帰ってたんだね。おかえり」
はっとして顔を上げると、視線の先には少し眠たそうなシンゴがいた。
「ただいま」
「今、帰って来たの?」
「ええ、そうよ」
「お疲れ様」
シンゴは微笑むと、ソファに腰を下ろした。
「シンゴも何か飲む?」
「僕はいいや。さっき、コーヒーを飲んだばかりなんだ」
シンゴの顔を見て、ほっとする自分にアスカはほんの少し笑みがこぼれた。
夜遅く、アスカは家に帰って来た。終電はすでに終わっていたので、タクシーで最寄駅まで帰ってくると、そこからのんびりと家まで歩いた。タクシーで家まで帰る気にはなれなかった。
夜道は暗いし、風は冷たい。それでも、歩くのを選んだのにはわけがあった。
アスカ自身、まだ頭の中が整理しきれず、一人でゆっくり考えたかったのだ。
依頼者のマキコが自分に妊娠していると嘘をついていたこと、ヒサシにとって、レナは一番愛している女ではないこと。
マキコにしても、ヒサシにしても、アスカにとっては、どっちもどっちに見えて仕方なかった。
そもそも、結婚なんしてしなければ良かったような二人なのだ。そんな二人が結婚してしまったから、別れさせ屋に依頼をしなければならなくなってしまったのだと思う。
不倫をしている女性を擁護するつもりはなかったけれど、アスカにはレナが不憫に思えてならなかった。
ヒサシと接すれば接する程、大人の男性のずるさが見える。レナの純粋さにヒサシが漬け込んでいるように、アスカには見えていた。
「それじゃあ、私はこれで」
そう言って、アスカは財布から千円を抜くと、テーブルの上に置く。
「もう一杯付き合ってはくれないんだね」
「付き合う理由はないわ。それから……」
「何?」
「依頼者があなたの女だと、考えたことはなくって?」
アスカの去り際の一言に、ヒサシの表情が一瞬だけ曇った。
アスカはヒサシに背を向けると、バーを後にした。
背後に懐かしいドアベルと、それに少し遅れてドアが閉まるがちゃりという音が聞こえると、アスカは溜め息をついた。
バーの前で立ち止まり、足元を見つめる。すぐにこの場を立ち去りたいはずなのに、しばらくは動けそうもなかった。
覚悟はしていた。
覚悟はしていたはずなのに、自分の置かれている状況を目の当たりにして、アスカは戸惑っていた。
ここからどうやって、持ち直せば良いのかがわからないのだ。
何より、ヒサシのあの言葉がアスカの中で引っかかっていた。
“いないよ。ここ、一年くらい関係も持ってないから、出来ることもない”――と。
「そりゃそうでしょう。あなたが男は浮気をするものだというんだったら、浮気相手にされている女ほど、惨めなものはないわ。不倫だとしても、本命であるなら、また話は違うけれど、今回なんて、浮気相手の中でも一番じゃないなんて。あなたと付き合ってる時間は彼女にとって、無駄だと思うけど」
「人生に無駄なことなんてないと思うけどなぁ」
「それは一般論よ。女の二十代は人生の中で一番尊いのよ。そんなこともわからずに、あんな若い子と付き合ってるわけ?」
「若いいい時間を費やしたんだから、責任取れってヤツ?」
「そうよ。責任取れないなら、手を出すなってこと」
「どうして、そんなにもレナと別れさせたい? 仕事だからか?」
「仕事だからっていうのも、勿論あるわ。でも、あの子がいい子だからよ」
「レナが?」
「そう。あなたの奥さんに対してもちゃんと罪悪感を持って、あなたと付き合ってたわ。いずれ、別れなきゃいけないと思ってるとも。いい機会だと思わない? 後腐れなく別れられるわよ。女から言い出す別れなんだから」
「……考えておくよ」
ヒサシの返事を聞いて、アスカは残っていたモヒートを一気に流し込んで、コースターの上にとんっとグラスを置いた。