小説「サークル○サークル」01-395. 「加速」
- 2014年01月12日
- 小説「サークル○サークル」
- サークル○サークル
アスカが事務作業を始めて数時間後、アスカの携帯電話が突然鳴った。
ディスプレイに表示されたのはレナの名前だった。
「はい」
「アスカさん、ですか?」
控えめなレナの声が聞こえる。その声はどこか不安そうだった。
「どうしたの?」
「今、彼と一緒にいるんですけど……」
アスカの心臓が一つ高鳴った。
予想外の電話だった。けれど、いつか来るだろう、と思っていた電話でもあった。
時計に目を遣ると、まだ夕方だ。ヒサシは仕事中ではないのだろうか、と思ったけれど、アスカは「何かあったの?」とだけ言った。
「今から、アスカさんに来てもらうことは出来ませんか?」
レナの声はどこか困惑しているように聞こえる。
「わかったわ。今、どこ?」
アスカは詳細を聞き出すことなく、承諾すると、レナが指定してきた場所へ行くことにした。レナが指定してき場所は事務所から数駅離れたカフェだった。
アスカはレナからの電話を切ると、紅茶のカップもそのままでコートを着ると、急いで事務所を後にした。