小説「サークル○サークル」01-397. 「加速」

「それより、お仕事はいいんですか?」
アスカはヒサシを見て言った。
「俺の心配? 随分と優しいんですね」
ヒサシはアスカをからかうように言う。一瞬、むっとしたがアスカは表情には出さないように努めた。
「仕事は午後休をもらってるんで大丈夫ですよ」
「わざわざ、そこまでして時間を作られるなんて、よっぽど重要なお話なのかしら?」
アスカは慎重に言葉を選びながら言った。
「そうですね……。そうなるかもしれません」
ヒサシが視線を動かしたことによって、アスカは自分の注文したアールグレイティーが来たのだということに気が付いた。
ポットからアールグレイティーを一杯注いで、店員は立ち去った。
アスカはアールグレイティーには手を伸ばさず、ヒサシに再び視線を戻す。
「私をここに呼ばれたということは、何か結論が出たのかしら?」
「そういうことになりますね」
「では、どういった結論になったのか教えていただけますか?」
アスカは平静を装っていたものの、内心ドキドキしっぱなしだった。


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