小説「サークル○サークル」01-224. 「加速」

アスカは映画の話が進むにつれて、憂鬱な気分になった。なぜなら、不倫をしている男女の三角関係のストーリーだったからだ。洋画だったので、なんだか少し遠い世界の物語のような気がしたのがせめてもの救いだった。
アスカはつい浮気をされている妻ではなく、浮気相手に感情移入してしまう。それは自分とその女とを重ね合わせて見てしまっているからだ。
レナを横目で見遣ると、真剣な眼差しをスクリーンに向けているのがわかった。
なんたが当てつけみたいね……とアスカは内心思ったが、映画に夢中になっているレナを見て、まぁ、いいか、という気持ちになった。
映画の中で妻は言う。いかに不倫で低俗で野蛮なのかを。けれど、不倫をしている女は言う。いかに不倫が魅力的でスリリングかを。二人の会話は平行線を辿る。男はそれを遠くから見ているだけだ。
そうだ。男はいつだってずるい。
アスカの気持ちはそこへ辿り着く。一度に二人の女性を愛してしまうのは仕方のないことなのかもしれない。それが男の本能なのだというのならば、女は諦めるしかないのかもしれない。
だからと言って、自分のやっていることを全て正当化しようとするその態度にアスカは次第に腹が立っていた。

小説「サークル○サークル」 01-223. 「加速」

アスカは三本目の煙草の火を消すと立ち上がり、コートを着た。レナと約束している時間が迫ってきていたのだ。
事務所を後にすると、アスカは映画館へと向かった。

映画館の前に行くと、すでにレナは映画館に立っていた。
「ごめんなさい。待った?」
アスカの言葉にレナは顔を上げ、首を左右に振った。
「いえ、私もさっき来たところですから」
レナはそう言って、微笑む。
「それなら良かった。中に入りましょうか」
アスカとレナは映画館の中へと足を踏み入れた。

ペアチケットを座席指定のチケットに交換して映画館の中に入ると、ポップコーンを持っている客が幾人か見受けられた。その姿を見て、アスカはレナの働いているカフェでホワイトモカを飲んだだけで、朝から何も食べていないことに気が付いた。
ポップコーンを買えば良かったな、と思いながら、座席に着いた。
ふとレナのことが気になって、ちらりと視線を向けると、少し緊張した面持ちで前を見据えている。アスカもスクリーンに目を遣った。

【Hayami】来月がもうすぐそこ!


こんにちは☆

Hayamiです。

今年も始まったばかり……と思っていたら、

あっという間に今月も終わりそうです(笑)

仕事していると、1年ってあっという間ですよね。

今月は締切が多い上に、右腕を痛める、というアクシデントもあり、

なかなか大変な時期でした。

右腕を痛めた原因は仕事が原因だったのですが、

そもそもの原因は階段から落ちた時に足を捻っていたことだったのです。

そこの歪みがあるのに、右腕を酷使したことにより、

お箸もペンも持てないくらいまで痛くなったんですよね。

まだ大丈夫かなー?と思っていたのですが、さすがに痛みで吐き気がして、

大人しく病院に行きました(笑)

皆さんもちょっとおかしいな? と思うことがあったら、

早めに病院へ行って下さいね!

さーて、来月ももりもり頑張りますよー!!
≪お知らせ≫

個人ブログ「Hayami’s FaKe SToRy」にて、

お仕事依頼・作品感想用メールアドレスを設置しております☆

アドレスはhayami1109@gmail.comです。

作品の感想等送っていただけますと幸いです。

メールは直接私のところまで届きます☆
≪番外編のお知らせ≫

番外編「ドライフルーツ・シンキング~マンゴーな過去に~」はもう読んでいただけたで
しょうか?

作家のシンゴの視点で語られるアスカとのなれ初めや、

シンゴが考えていることを物書きとして描いている、というお話です。

全10回となっておりますので、ぜひこちらも併せてご覧下さい☆

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次回もよろしくお願い致します☆

小説「サークル○サークル」01-222. 「加速」

確かに恋人はアスカより、数歳上で大手企業に勤めるエリートサラリーマンだったから、彼の収入だけで十分生活していくことは出来たし、彼の仕事の忙しさを考えると、家庭に入り、彼を支えるのが一番良い方法だとも思えた。
けれど、アスカは家庭に入るという、その条件を飲むことが出来なかった。話し合いに話し合いを重ねた結果、見据えている将来が違うという結論から、アスカはその恋人と別れた。
その数年後、アスカはシンゴと出会い、シンゴの猛アタックにとうとう結婚を決めたのだ。自分にはこういうタイプの方がお似合いなのかもしれない、その時はそう思って結婚したが、結婚生活が続くにつれて、うだつのあがらない夫に結婚は間違いだったのかもしれない、と思うことも度々だった。
自分のした選択が良かったのか悪かったのか、アスカには時々わからなくなる。
人生は選択の連続で、その答えが正解かどうかなのかは、死ぬ時にならないとわからない。否、死んでもわからないものなのかもしれない。
けれど、生きていれば、常に自分の判断の正解不正解を気にしてしまう。
少なくとも、アスカはマキコから依頼を受けてから、様々なことを考え、そして、悩んでいた。

小説「サークル○サークル」01-221. 「加速」

アスカは大きな溜め息をつくと、煙草に火をつけた。
煙がたゆたい、煙草の香りが部屋に充満していく。
何度も煙を吐き、煙草が短くなると、アスカは灰皿に押し付けた。
続けて、二本目の煙草に火をつける。同じようにあっという間に煙草は短くなった。
すぐに終わってしまう煙草を見ながら、アスカはふと自分の人生について考える。
別れさせ屋の仕事にはやりがいを感じていたし、楽しいとも思う。この仕事に就けて、本当に良かった、そう言える。けれど、どこかでこの仕事を選ばなかった時のことを考えてしまうのも事実だった。
アスカにはシンゴと結婚する前、恋人がいた。結婚を考えられる相手だった。その恋人は言った。「結婚したら、仕事は辞めて、家庭に入ってほしい」と。
結婚を考えていたはずなのに、その恋人にプロポーズをされ、そう言われた時、アスカは嬉しいという気持ちよりも、どうしよう、という気持ちが大きかった。
彼の出した条件は自分の仕事を否定しているように聞こえたのだ。


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