小説「サークル○サークル」01-238. 「加速」

「実は私……」
レナはもう一度同じ台詞を口にした。アスカはそんなレナを黙ったまま、見据えている。
レナの唇がわずかに震えている。口に出すのも憚られるのだろう。それは彼女が不倫を心の底から肯定していないことを伺わせていた。
「私、不倫しているんです」
レナは俯いたまま、言った。その表情は苦悶に満ちている。アスカはそんなレナを優しい眼差しで見つめた。
「そうなの……。もう長いの?」
アスカの言葉にレナは小さく頷いた。
「2年になります」
もう少し短いと思っていたアスカは面食らったが、レナには動揺を悟られないように僅かな微笑みを浮かべたまま、再び質問を口にした。
「彼はどんな人?」
「優しくて、大人で、紳士的で、頭の良い人です」
「そう……素敵な人なのね」
「はい……。私にはなくてはならない人です」
「でも、彼は結婚している……」
「……」
「……ごめんなさい。そんなことわかってるわよね。だから、辛いんだものね」
アスカはレナの味方であるような口振りで話を進めていった。

【Hayami】2月も終わりですね☆


こんにちは☆

Hayamiです。

あっという間に2月が終わろうとしています。

皆さんいかがお過ごしでしょうか?

私はというと、締切締切締切……と締切三昧の中、

飲み会に行ったり、パーティーに参加させていただいたりと、

毎日忙しく過ごしています。

まぁ、土日は寝込んでましたけどね(笑)

今年はアレルギーがひどくって、結構大変です(笑)

でも、一度こういう症状が出て落ち着いてしまえば、

あとは平気なので、花粉症よりは随分マシだな~と思います。

花粉症って、その期間ずっと大変そうですもんね……。

マスク嫌いの私としては、花粉症にならなくて本当に良かった……!と思いました。

これから、本格的になっていまであろう花粉症。

皆さんも気を付けて下さいね☆
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番外編「ドライフルーツ・シンキング~マンゴーな過去に~」はもう読んでいただけたで
しょうか?

作家のシンゴの視点で語られるアスカとのなれ初めや、

シンゴが考えていることを物書きとして描いている、というお話です。

全10回となっておりますので、ぜひこちらも併せてご覧下さい☆

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次回もよろしくお願い致します☆

小説「サークル○サークル」01-237. 「加速」

「どうしたの? 大丈夫?」
 アスカは少し驚いたようにレナを心配する。これも計算のうちだった。
「大丈夫です……。すみません」
 レナはバッグからハンカチを取り出し、溢れそうな涙を拭った。
 アスカはそんなレナを見ながら、人のモノを取ろうとしている女が、この程度のことで泣くなよ、と内心思ったが、おくびにも出さずにレナを心配する振りをした。
「実は私……」
 レナはそこまで言って、口を閉ざす。ヒサシとの不倫を言い出すべきか、どうか迷っているようだった。
 アスカはじっと待つ。ここで話を促すのも不自然だったし、アスカの想定している方向とは別の方向に話が展開しても困る。ここは黙って、レナが自発的に話すのを待つのが得策だった。
 一体、何分過ぎただろう。
 レナは思い詰めた表情で俯き、口をへの字に結んでいる。
 沈黙のあまりの長さに煙草を吸いたくなったが、アスカはぐっと堪えた。
 今が勝負どころだ。アスカは煙草の誘惑に抗いながら、黙りこくっているレナをただじっと見据えていた。

小説「サークル○サークル」01-236. 「加速」

 アスカはここからが勝負だと思った。レナにヒサシとのことを話させるチャンスはもうすぐそこまで来ている。ここで焦ってしまっては元も子もない。アスカは平静を装いながら、レナが話し出すのを待っていた。
「結局、その方とはどうなったんですか……?」
 レナは恐る恐るアスカに訊く。
「別れたわ」
「理由を訊いてもいいですか……?」
「えぇ、理由はね、彼の奥さんに子どもが出来たからよ」
「……!」
「そんなに驚くことじゃないわ。不倫にありがちなパターンよ。私のことを世界で一番愛してると言いながらも、しっかり奥さんともすることはしてたのよね。奥さんとは全然してないなんて言葉を信じちゃうくらい、私も純粋だったってことなのかもしれないけど」
 アスカは苦笑して見せる。そのキレイな笑い方からレナは視線を外せなかった。いずれ、自分のもこんな風に笑うのかと思うと、胸の奥が締め付けられる。
 レナはヒサシに言われた言葉を思い出し、何度も心の中で反芻した。反芻すればするほど、不安か襲い掛かってくる。気が付けば、レナの瞳には涙が浮かんでいた。

小説「サークル○サークル」01-235. 「加速」

「付き合ってる時は楽しかったの。奥さんのことが時々頭を過ったけれど、それでも私の方が彼に愛されている、彼には私の方がふさわしいって思ってたのよ」
「それは彼がそう言ってたから……ですか?」
 レナは遠慮がちに問う。
「ええ。彼はいつも言っていたの。君の方が可愛い。君のことを世界で一番愛してるって。でも、それは嘘だったわ」
「えっ……」
 レナの表情が一瞬にして変わる。それもそうだろう。レナは今アスカが言ったことをヒサシに言われているのだ。レナとヒサシがバーに来た時に話していた内容をアスカはこの日の為にしっかりと覚えていた。
「どうして、それが嘘だと……」
「彼は奥さんが一番大切だったのよ。私のことが一番好きだなんて、都合よく私わ繋ぎとめておく為の口実だったの」
「そんな……」
「あなたがそんな顔をすることはないわ。私がバカだったのよ。若かったから……何も知らなかったのね」
 アスカの言葉にレナの顔が次第に曇っていった。


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