こんにちは☆
Hayamiです。
本日、「サークル○サークル」135話が配信されました。
まさかもう7月が終わるなんて……!
と思わず、驚いてしまいました(笑)
学生さんも社会人の皆さんも、夏休みはどのように過ごされるのでしょうか?
しかし、私には夏休みがありません(笑)
書いて書いて書きまくるしかないんですよねー。
仕事がぱっつんぱっつんに詰まってるところに、
引っ越し!
引っ越しは気分も変わるし、正直、仕事の為のものなので、
良い方向に向かうのではないかなー? と思います☆
まぁ、修羅場になると、確実にご飯食べなくなりそうだけど(笑)
≪お知らせ≫
個人ブログ「Hayami’s FaKe SToRy」にて、
お仕事依頼・作品感想用メールアドレスを設置しております☆
アドレスはhayami1109@gmail.comです。
作品の感想等送っていただけますと幸いです。
メールは直接私のところまで届きます☆
≪番外編のお知らせ≫
番外編「ドライフルーツ・シンキング~マンゴーな過去に~」はもう読んでい
ただけたでしょうか?
作家のシンゴの視点で語られるアスカとのなれ初めや、
シンゴが考えていることを物書きとして描いている、というお話です。
全10回となっておりますので、ぜひこちらも併せてご覧下さい☆
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次回、136話もよろしくお願い致します☆
ホテルに入ったのは今なのだから、すぐに二人のところに行き、ことに及ぶ前に止めることも出来る。けれど、シンゴにはその勇気がなかった。今更自分が二人の元へ行って、何を言えばいいのだろう。すでにアスカの気持ちがヒサシに向いていれば、何を言ったところで後の祭りだ。
今まで、アスカを散々がっかりさせてきたのは自分だ。アスカが他の誰かに心を奪われても、文句なんて言いようがないことも自覚している。けれど、こんなにもあっさりと別の男のところに行かれると、立つ瀬がないとも思った。
シンゴは複雑な気持ちを抱えたまま、しばらく、ホテルの入口を見つめていた。ひょっこりアスカが出て来るのではないか、と期待すらした。けれど、いくら待ってもアスカが出て来る気配はない。泣きそうになるのをぐっと堪えて、シンゴは踵を返す。
シンゴは自転車を止めた場所まで戻ると、自転車に乗り、ゆっくりとペダルを漕ぎ始めた。
その日の夜、アスカは帰って来なかった。
それからしばらくの間、シンゴはアスカの尾行を続けた。けれど、あれ以来、ヒサシがアスカを強引に口説こうとするシーンに出くわしたことはなかった。アスカはシンゴの仕事の依頼の話を聞いてから、ずっと上機嫌だったし、何も不安に思うことなどないような気もしていた。けれど、現実はそんなに甘くない。シンゴは自分の目に飛び込んできた光景を見て、息を飲んだ。
ヒサシが店から出て来るのと同時にアスカも出て来る。店はまだ閉店の時間ではない。見送りかと思ったけれど、様子がおかしい。アスカがコートを着ているのだ。
ヒサシとアスカは仲良さそうに並んで店を出ると、繁華街の奥へと消えていく。
嘘だろ……? とシンゴは思った。慌てて、自転車に乗って、二人の消えていった方向へとひた走る。
二人の後ろ姿を見つけ、自転車を路肩へ止めると、気付かれないように後をつけた。
シンゴの祈るような思いとは裏腹に、二人はホテルの前で立ち止まると、辺りを確認しながら、ホテルの中へと入っていった。
「どうしたのよ。急に」
「いや、不甲斐ない夫だったなって思って」
「そんなことないわ、って言ってあげたいけど、それは言えてるわね。でも、いいじゃない、また小説を書くことになったんだから」
「もうこれからは心配かけないから」
「大丈夫よ。最初から心配なんてしてないから。ただ困った夫だな、って思ってただけよ」
歯に衣着せぬアスカの言葉にシンゴはぐさりぐさりと心を刺されるような思いがしたが、自分の蒔いた種なので仕方がない。
「でも……いつも家事を一生懸命やってくれて、とても感謝してるわ。あなたも仕事が忙しくなるだろうし、昔みたいに分担しましょう」
「えっ……」
「何か不満?」
意外なアスカの申し出にシンゴは間の抜けた声を出す。アスカの愛情がヒサシに向かいつつあると思っていただけに、予想外だった。
「ありがとう。そうしてもらえると、僕も助かるよ」
「でも、料理はお願い。私より、あなたが作った方が何倍も美味しいわ」
「わかったよ。今まで通り、夕飯作って待ってるから」
「ありがとう」
シンゴは夫婦らしい会話をしている自分たちにホッとしていた。
これでこそ、夫婦だ。
そう強く思った。
きっと夫婦らしい会話が消えていったのは、いつまでも腐って、小説を書こうとしなかった自分に原因があると思った。ここから、どうやって、巻き返していくかが肝心だ。ヒサシにアスカを取られたくない。シンゴはより一層、そう強く思った。
アスカは上機嫌だった。それもそうだろう、とシンゴは思う。主夫に徹していた夫がやっと重い腰を上げ、仕事を始めたのだ。少なくとも、出会った頃のように作家として小説を書くことをアスカはずっと望んでいたのだ。それを知りながら、アスカが何も言わないことをいいことに、シンゴはアスカに甘え続けていた。
「本当に良かったわ。小説の依頼が来て。あなたは小説を書いているのが一番似合ってる」
アスカは気持ち良さそうに酔いながら、嬉しそうに言う。シンゴが嬉しくなるような言葉を口にするけれど、シンゴは本嫌いのアスカから作品の感想をもらったことなど一度もなかった。
「ありがとう。僕も小説を書ける環境をもらえて、本当に安心しているよ」
祝われているのだから、と思い、シンゴは当たり障りのない返答をする。さっきから、ずっとビールを飲んでいるのに、なかなか酔えない。どうしても、アスカがヒサシに言い寄られているシーンが過ぎってしまい、アルコールに浸れないのだ。
「苦労をかけてしまってごめん」
シンゴはビールの入ったコップを置いて言う。その神妙な面持ちにアスカは面食らっているようだった。