小説「サークル○サークル」01-229. 「加速」

この後、予定があると言われても、携帯の番号さえ交換してしまえば、こちらのものだ。第一、レナはアスカに好意を持っている。
レナはアスカに再び微笑みを向け、「この後、大丈夫です」と答えた。
アスカはほっと胸を撫で下ろす。後日でいいと言ったって、出来る事なら、数日空くのは避けたかった。タイムロスは少ない方がいいに決まっている。
「良かったら、食事にでも行かない? 夕飯には少し早いけど、この近くの良い店を知っているの」
「いいんですか? 嬉しいです」
レナは本当に嬉しそうに言う。アスカも悪い気はしなかった。
本来ならきっとレナのことを嫌いになっているだろう。事実を知っているのは、アスカだけだったが、レナが恋敵であることに変わりはない。けれど、自分に対して好意を持ち、可愛く振る舞うレナを見て、嫌いになどなれるはずもなかった。そんな自分の気持ちにアスカは驚いてもいた。
アスカは複雑な気持ちのまま、下調べをしておいたエスニック料理の店へレナと向かった。


dummy dummy dummy