小説「サークル○サークル」01-231. 「加速」

「ねぇ、やっぱり、今日はイタリアンでもいいかしら?」
 アスカの言葉にレナはきょとんとする。
「実は普段は混んでいて入れないイタリアンが、この時間帯なら入れるのを思い出したの。ここなら、いつでも来られるし、どう?」
 ここでエスニック料理がいいと言われれば終わりだったが、アスカが強引にここを出ようとしたら怪しまれる。賭けに出るしか方法はなかった。
「イタリアンですかー!? 大好きです!!」
 レナは目をキラキラさせて、アスカを見た。
「じゃあ、イタリアンに行きましょう」
 アスカは逸る心を抑えて、エスニック料理店を出た。
 レナに気付かれないように、アスカはほっと胸を撫で下ろす。
「こっちよ」
 アスカは来たのとは反対方向に歩き出した。

 イタリアン料理店はアスカの言う通り、席に空きがあり、すぐに通してもらえた。
「ここのピッツァは雑誌やテレビで紹介されるくらい有名なの」
「あっ、私も見たことあります! この前、お昼の番組で紹介されてました」
 レナが嬉しそうに話すのを見て、アスカはここにして良かったと思った。


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