小説「サークル○サークル」01-377. 「加速」
- 2013年12月02日
- 小説「サークル○サークル」
- サークル○サークル
「勿論です。でも、どうして、そんな振りを?」
「守秘義務の問題があるから、詳細は言えないんだけど、不倫相手の方は別れさせ屋である私に依頼があった、ということをすでに知っています。けれど、依頼主を間違えているの」
「その間違えている依頼主が俺ってわけですね?」
「ええ。今、現在、別れさせ屋として、依頼主に不倫相手に依頼がバレているとなれば、私への報酬は基本的にありません。報酬をゼロにしない為に取引をしよう、と持ちかけられているんです。けれど、本当の依頼主は別にいます。だから、仮にあなたにバラされたところで私は特に困ることはありません」
「そこで俺に依頼主の振りをして、レナと別れさせよう、ということですね?」
「その通りです。レナさんと別れてもらう代わりに、私は依頼主にバラされることも厭わない、そういう交渉をしてきました」
「わかりました。やりましょう」
ユウキはアスカの説明を聞いて快諾した。
その間も、レナは終始つまらなさそな表情を浮かべ、テーブルの上に乗っているティーポットを見据えていた。