小説「サークル○サークル」01-380. 「加速」
- 2013年12月08日
- 小説「サークル○サークル」
- サークル○サークル
「男と女ってわからないわよね」
アスカはワイングラスを片手にぼやいた。
「思考回路が全く違うんだから、当たり前じゃない?」
シンゴは料理を運びながら言う。
「当たり前ねぇ」
アスカはシンゴの言葉に頷きながら、グラスに入っていたワインを一気に飲み干した。
シンゴは全ての料理を運び終えると、自分も席に着く。
「乾杯」
シンゴのグラスにアスカはグラスをあてた。
シンゴは一口ワインを飲むと、チーズを口にする。
今日のアスカはいつもと違うな、とシンゴは思っていた。
不思議なもので、毎日一緒にいると些細な変化にも気が付く。
きっと仕事のことでまた悩んでいるのだろう。
シンゴが聞き出すことも出来はしたが、アスカが自分で何か言い出すまで待とうと思っていた。
なんでも聞けばいいと言うものでもない。
「ワインまだあるよね?」
「ああ、あと三本は」
「良かった」
ほとんど空になっているワインボトルを持ち上げながら、アスカは嬉しそうに微笑んだ。
そんなアスカを見ながら、シンゴは今日はとことんアスカに付き合おうと思っていた。