小説「サークル○サークル」01-383. 「加速」

「私は別にやんわり言ってほしいなんて思ってないの。むしろ、その逆よ。はっきりきっぱり言われた方が安心するの」
 アスカは言いながら、グラスに口をつける。かなりのハイペースでアスカは飲んでいた。つまみなどほとんど口にしていない。
 シンゴはカットチーズを口に運んだ。答えるのに詰まった時は食べるのに限る。もぐもぐと口を動かしている時は単なる時間稼ぎだ。シンゴは咀嚼しながら、自分の頭の中で話すことを組み立てる。
「わかった。じゃあ、はっきり言うよ。男女の関係において、セックスの重要性は半分から三分の二を占めるんじゃないかと思うよ。セックスのない関係で良いのであれば、友達でいいんだからね」
「男女間の友情は成立する、とした場合はでしょ?」
「アスカは成立しないと思ってる?」
「そうね。絶対ないとは言い切れないけど、ほとんどの場合が無理だと思うわ」
 だとしたら、セックスのない関係は知り合い程度ってことなのかな、とシンゴは思ったけれど、敢えて口にはしなかった。今はそこを掘り下げるべき時じゃないな、と思ったからだ。


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