アスカの腕時計は午後5時半を指していた。腕時計から顔を上げると、黙々と目的地まで歩いて行く。風は家を出た時よりも冷たくなっていた。
駅から続く商店街で擦れ違うのは、スーパーの袋を下げた主婦や学校帰りの中高生ばかりだ。アスカも見方によってはスーパーに向かう主婦に見えただろうが、背中の開いたニットが少し場違いな印象を与えていた。
駅から徒歩8分のところに「crash」はあった。パッと見、ラブホテルかと見間違いそうになる外観にアスカは思わず吹き出しそうになる。何度見ても見慣れない外観は、白と黒のコントラストが明らかに商店街の中で浮いていた。
ドアをゆっくりと開けると、カランカランとドアベルが控えめに鳴る。アスカはゆったりとした足取りで店内に足を踏み入れた。薄暗い店内には静かなBGMがかかっており、客は時間が時間だけに、誰1人としていない。
「いらっしゃい」
そう言って、出迎えてくれたのは、「crash」のマスターだった。年の頃なら、40代後半といったところで、昔はそれなりに遊んでいたんだろうと思わせる雰囲気を漂わせている。アスカは調査の為に数回通っていたので、マスターの顔はよく覚えていた。けれど、マスターが自分を覚えているかどうか、アスカにはわからなかった。顔を覚えてもらっていなければ、事前に連絡も入れず、履歴書を持って来たのは、印象が悪いだけだろう。しかし、電話で約束を取り付けなければ、取り敢えず面接だけはしてもらえる可能性がある。アスカにとって、突然履歴書を持って来たのは、一種の賭けだった。
みなさん、こんにちは。
森野はにぃです。
本日、17話が配信されました。
春の恋愛観について、少しずつ掘り下げていきたいと思います!
「出会い」とタイトルにあるように、新たなキャラクターが登場します。
かなりのキーキャラクターになる……予定です(笑)
18話の配信もよろしくお願いします☆
こんにちは☆
Hayamiです。
本日、17話が配信されました!
愛情の行き違いって、
きっと誰でも経験したことのあることなんだと思います。
それをどうしたいか、たとえばやめるのか、続けるのかは、
その人の考え方や相手の存在感や関係性次第なんですよね。
アスカがこれからどういった選択をするのか、
その選択は妥協なのか、愛情から来る決断なのか、
そこら辺も楽しみにしていただけると幸いです。
次回18話もぜひお付き合い下さいね☆
駅に向かう道すがら、アスカはぼんやりとシンゴのことを考える。シンゴのことは愛している、と確かに思う。けれど、顔を見たり、話したりするだけでうんざりしてしまう自分がいるのもまた事実だった。確実に自分たちの愛情は行き違い始めている。どうにかしたい。以前のように、シンゴをもっと大切に思いたい。そう思ってはみるものの、彼女は何度愛そうと思っても、感情の波に抗えずにいた。シンゴと別れて、別の男とやり直す、ということも考えてはみたけれど、いかんせん、この仕事で出会いなどあるはずもない。今更1人になることは気がひけた。今ここで別れてしまっては、今まで支えた分を損してしまう、という思いが彼女にないことがせめてもの救いだろう。
アスカは改札を抜け、電車に乗り込むとドアの前に立ち、溜め息をついた。電車が動きだし、景色が少しずつ変わっていく。景色が変わっていくのに、気持ちは同じ場所に停留し続けている。そのもどかしさが今のアスカには耐え難かった。
みなさん、こんにちは。
森野はにぃです。
本日、16話が配信されました。
16話から「出会い」がスタートです。
どんな人と出会うのかタノシミにしていて下さいね。
今年も残り1ヶ月、もりもり頑張りたいと思います!
17話の配信もよろしくお願いします☆