小説「サークル○サークル」01-33. 「作戦」

 シンゴの気持ちなど気付くわけもなく、アスカは食事を終えると事務所に向かった。別れさせ屋の仕事は、バーでヒサシの監視をするだけではない。別の案件の進捗具合も把握し、仕事が順調に進んでいるかをチェックしなければならなかった。
 アルバイトの作った書類に目を通しながら、アスカはキッチンへと向かう。紅茶を淹れて、カップに口をつけながら、彼女は再び椅子の上に踏ん反り返った。
「あともう少しで、この案件は片付きそうね……」
 書類に目を通したことを知らせるサインを書くと、アスカは机の上に足を乗せた。お世辞にも行儀が良いとは言えなかったが、彼女が考えごとをする時はいつもこうだった。
机の上に無造作に置かれた煙草を手に取ると、灰皿の横に置かれたライターで煙草に火をつけた。いつからだろうか。煙草がないと生きてはいけないと感じたのは。昔は煙草なんて吸わなかった。健康のことを気遣っていたし、煙草を吸う他人に嫌悪感すら抱いていた。それなのに、今では1日に何本もの煙草を灰皿に押しつけている。
 些細なきっかけで、人の心は揺さぶられ、知らず知らずのうちに深みにハマっていく。アスカにとって、それが煙草だった。そして、それは恋愛も一緒なのだと、ふと彼女は思って苦笑した。

【森野はにぃ】「ワンダー」32話配信☆


みなさん、こんにちは。

森野はにぃです。

本日、「ワンダー」32話が配信されました。

早いもので今年もすでに1週間なんですね!

12月になると、いつも「今年は早かったな……」と感じますが、

年明け早々から早いのだなー、と痛感しました。

33話から少しずつまた違うベクトルでお話が進んでいきます。

次回33話もよろしくお願いします☆

【Hayami】「サークル○サークル」32話配信☆


こんにちは☆

Hayamiです。

本日、「サークル○サークル」32話が配信されました。

皆さんは番外編「ドライフルーツ・シンキング~マンゴーな過去に~」を

すでに読んでいただけましたでしょうか?

メルマガ登録していただくと、番外編が読めてしまいます!

こちらは、作家のシンゴの視点で語られるアスカとのなれ初めや、

シンゴが考えていることを物書きとして描いている、というお話です。

全10回となっておりますので、ぜひこちらも併せてご覧下さい☆

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次回、33話もよろしくお願い致します☆

小説「サークル○サークル」01-32. 「作戦」

「お待たせ」
 シンゴは全ての料理をテーブルに並べると、アスカに笑顔を向けた。アスカの気持ちが遠く離れているのに、シンゴはそうではないようだった。
「いただきます」
 シンゴが席に着くのを待って、アスカは小さな声で言った。頭はまだ若干ぼーっとしていたが、味噌汁にそっと口をつける。温かな液体が身体の奥深くに沁み渡った。こういう時、日本人で良かった、とアスカは大袈裟に思う。
「昨日、随分、遅かったみたいだね」
 シンゴは遠慮がちに言った。
「今、仕事が忙しいの。潜入でバーで働くことにしたから」
「バーで!?」
「どうしたの? 何か問題でもある?」
「えっ、いや……。アスカがバーで働くなんて、予想外だったから……」
「そう? 結構、いい感じよ」
「そうなんだ……。別れさせ屋は大変だね……」
 シンゴはそれきり口をつぐんで、焼き魚に箸を伸ばした。シンゴにとって、バーで自分の妻が働くということは、出来れば避けたいことだと思っていた。何度かシンゴもバーに行ったことはあったが、見ず知らずの人とも気軽に話せるし、店員とも会話を楽しむことが出来る。それが魅力でもあり、シンゴ自身楽しくもあったが、自分の妻がそういった場所で働くというのは、また別の話だった。ささやかなヤキモチだ。
 シンゴは焼き魚を食べながら、アスカの顔をそっと盗み見た。近くにいるのに、少しだけアスカを遠くに感じていた。

【森野はにぃ】「ワンダー」31話配信☆


みなさん、こんにちは。

森野はにぃです。

本日、「ワンダー」31話が配信されました。

初仕事も始まって、お正月休みから、日常に戻られた方が多いと思います。

そんな私はお正月休みとは無縁でした。

でも、年始早々お仕事が出来るって、ありがたいことですよね。

フリーでお仕事をしていると尚更思います。

これから、「ワンダー」も次々と展開していきますので、

楽しみにしていて下さいね。

次回32話もよろしくお願いします☆


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