小説「サークル○サークル」01-159. 「加速」
- 2012年09月16日
- 小説「サークル○サークル」
- サークル○サークル
レナとは一度しか会っていないから、レナがアスカの顔を覚えていない可能性もゼロではなかった。けれど、物事を自分の都合の良いように考えるのは一番危険だ。
カフェ以外の場所でレナと接触する方がいくらか自然だし、偶然の再会をきっかけに話が盛り上がり、仲良くなりやすいとも思った。
けれど、今からレナとの接触場所を探すのは、時間がかかりすぎる。アスカは考えた結果、カフェで常連となることを決めた。行くとすれば、朝の時間帯にテイクアウトせず、カフェで飲む必要がある。テイクアウトの多い時間帯にそうすることで、印象に残るはずだ。
これから、毎朝、カフェに通う為に早起きをしなければならないのかと思うと、憂鬱だったが、仕事の為だ。仕方がない。
それにアスカにはとっておきの方法があった。この方法なら、きっと上手くいく、そうアスカは確信していた。
まずは家に帰って、シンゴに相談しよう。こういう時、作家の夫は誰より頼りになる。
アスカは書類のコピーを一部取ると、灰皿と紅茶の後片付けをてきぱきと済ませて、事務所を後にした。