小説「サークル○サークル」01-185. 「加速」

 アスカはしばしメニューを見つめる。ここで無難にコーヒーを頼んでしまっては、レナの印象に残る確率は低い。出来るだけ、他の客が頼まないようなドリンクを頼む必要があった。そして、これから毎日、そのドリンクを飲み続けなければ意味がない。
 飽きがこなくて、尚且つ印象的なものを……と悩んでいると、ふとホワイトモカというドリンクが目に留まった。ホワイトチョコレートをベースにしたコーヒーだった。
「すみません、ホワイトモカを下さい」
 アスカはメニューを指差しながら、オーダーする。
「かしこまりました。サイズはいくつになさいますか?」
「Mサイズでお願いします」
「店内でお召し上がりですか?」
「はい」
「450円です」
 レナはテキパキと仕事をこなしていく。アスカはそんなアスカの姿に好感が持てた。ドリンクのオーダーを通したレナは、会計へと戻る。
「500円お預かりいたします」
 そう言って、レナは500円をキャッシャーに入れ、50円を取り出すと、レシートともにアスカに差し出した。
「50円のおつりでございます」
 レナは笑顔で言うと、少し離れたカウンターを指した。
「あちらのカウンターでお出ししますので、前でお待ち下さい」
「はい」
 アスカもレナに笑顔を向けた。


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