小説「サークル○サークル」01-277. 「加速」

「ごめんね。こんな話して」
 アスカは少し困ったような顔をして言った。きっと作り笑いをしているつもりなのだろう。そんな不器用さにシンゴは、ふと本当はこんなに不器用なアスカに浮気なんて器用なことが出来るのだろうか、と不思議に思う。
 けれど、すぐにシンゴの頭には別の考えが過ぎる。彼女は別れさせ屋なのだ。男女関係のことに関しては、器用不器用は別なのだろう。シンゴは自分をそう納得させた――はずなのに、どこか腑に落ちない。シンゴは一体、なんの為に尾行をするのだろう……と一瞬考え込みそうになったけれど、シンゴはそれ以上深く考えなかった。考えたって、自分1人の考えだけでは、堂々巡りになってしまうからだ。
「気にすることはないよ。少し疲れてるんじゃない?」
「……確かに、今回の案件も山場だし、プレッシャーもすごく感じてて、最近、夜中でも何度も目を覚ましちゃうのよね」
 アスカは視線を床に落とし、少し困ったように笑って言った。

小説「サークル○サークル」01-276. 「加速」

「僕は仕事に一生懸命なアスカが好きだし、カッコイイと思ってる。だから、今のままでいいよ。勿論、家事を頑張ってくれるのも嬉しいけど、無理をしてまでやってほしいとは思わない」
 シンゴはアスカを傷つけないように言葉を選びながら話した。そんなシンゴの言葉を聞いたアスカは、どことなく嬉しそうだった。しかし、目は未だに潤んでいる。
 その反面、シンゴは自分の口から出た言葉に驚いていた。さらりと「アスカが好き」と口をついて出たのだ。その事実に戸惑いを隠せない。
 シンゴは浮気をしているアスカのことをただ憎いと思っているのではないか、と思っていた。けれど、違ったのだ。
 好きだから、ただ浮気をやめてほしい。その思いだけでシンゴはアスカの尾行をし、気持ちを抑えつける為に小説を書いているのだ。アスカに直接自分の思っていることをぶつけてしまえば、アスカとの関係がぎくしゃくし、終わりを迎えてしまう。そのことをシンゴはまだ受け入れたくなかったのだ。
 そうした自分の本心に気が付いた時、人は面食らい、呆然とするのだということをシンゴは身をもって知った。

【Hayami】目がイタイ!!


こんにちは☆

Hayamiです。

実は昨日の夜、突然、「目が目がぁぁっ!」となりまして、

 

本日、朝から検査・検査・検査……でなんと3時間越え。

結論から言いますと、「ドライアイ」と「眼精疲労」のダブルパンチで、

目が痛くなって、フツーに開けられず、半目くらいのすごい顔で過ごしておりました(笑)

目が大きいと、強風の時にゴミが入りやすいとか、

目の周りの筋肉をフツーの人より使うから、シワになりやすい(今、これでめっちゃ悩んでおります)とか、

結構うーん……って思うこともあったのですが、今回、目が痛くて、ちゃんと開けられず、

半目になっても、結構見える!という利点を発見した次第です(笑)

現在、点眼液でどうにかやり過ごしてます。

痛くて号泣しながら、原稿書いてる自分にちょっと引き気味ですが、

締切あるのでもりもり原稿書きたいと思います!

皆様も「ドライアイ」と「眼精疲労」にはお気を付け下さいね!

≪お知らせ≫

個人ブログ「Hayami’s FaKe SToRy」にて、

お仕事依頼・作品感想用メールアドレスを設置しております☆

アドレスはhayami1109@gmail.comです。

作品の感想等送っていただけますと幸いです。

メールは直接私のところまで届きます☆
≪番外編のお知らせ≫

番外編「ドライフルーツ・シンキング~マンゴーな過去に~」はもう読んでいただけたで
しょうか?

作家のシンゴの視点で語られるアスカとのなれ初めや、

シンゴが考えていることを物書きとして描いている、というお話です。

全10回となっておりますので、ぜひこちらも併せてご覧下さい☆

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次回もよろしくお願い致します☆

小説「サークル○サークル」01-275. 「加速」

シンゴはアスカの口から「嫌いにならないで」なんて言葉が出てくるなんて思ってもみなかった。
これは不倫相手と別れたことを意味しているのだろうか? それとも、継続している上での謝罪なのだろうか?
シンゴは考えてたみたものの、いまいちわからなかった。
「呆れちゃうよね、ホントにごめんね……」
アスカは申し訳なさそうに繰り返した。思わず、シンゴは口を開く。
「それは今までの家事に対するごめんなさい?」
「そうよ。小説を書くようになったシンゴはいつも疲れてるのに、文句も言わず、家事をしてくれるでしょう? しかも、完璧に。なのに、私は家事が下手過ぎて、いつも悪いなって思ってて……」
どうやら、アスカが謝っているのは、浮気のことではないらしい。シンゴは腑に落ちなかったが、作り笑顔を浮かべてアスカを見た。
「気にすることないよ。家事は得意な方がやればいいし、実際、アスカは一生懸命してくれているだろう? 僕はその気持ちだけで十分だよ」
「シンゴ……」
アスカは感動したようにシンゴを見た。
シンゴはアスカの隣に座ると、近くでアスカの目を見つめた。

小説「サークル○サークル」01-274. 「加速」

アスカは黙ったままのシンゴから視線を外し、視線を床に落とした。
「料理もシンゴの方が上手だし、家事を張りきったら、ケガするし……」
「……気にすることないよ」
辛うじて、シンゴは返事をする。きっとアスカは軽い前置きをしているのだろう。シンゴはそう思いながら、アスカの次の言葉を待った。
「私、奥さんとして失格だよね」
「……」
それは浮気のことを指しているのだろうか? だとしたら、間違いなく、イエスだとシンゴは思った。けれど、シンゴは何も言わない。浮気の話を自分から切り出すまで、シンゴは核心に触れるつもりはなかった。
「私ね、仕事を一生懸命して、家事もそつなくこなしてくれるシンゴを見ていて思ったの。私って仕事を言い訳にしてるだけなんだなって。これからはもっともっと頑張るから。だから……」
「……」
「嫌いにならないでね」
「……?」
シンゴはアスカの言葉に違和感を覚える。シンゴが予想していたのは、こんな言葉ではなかった。


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