アスカは事務所の階段横に停めてある自転車にまたがると、颯爽と走り出す。夕陽に染まっている商店街に目を細め、右へ左へとハンドルを切る。しばらくすると、どこにでもあるような茶色い外壁のマンションが目の前に現れた。彼女は駐輪場に自転車を置くと、エレベーターに乗り込み、3のボタンを押す。1年前に新築で購入したこのマンションも、今では当時の輝かしさはなかった。アスカは購入する時に3階にこだわった。それは何か事故が起きて飛び降りなければならないことがあっても、3階ならば飛び降りても死なないだろう、と思ったからだ。実際、1年経ってもそんなハプニングに見舞われることはなかったし、きっと今後もそんなハプニングに見舞われることはないだろう。時折、突拍子もないことを考えるのが彼女の長所でもあり、短所でもある。
3階でエレベーターが止まると、アスカはキーを解除し、玄関のドアを開けた。
「ただいまー」
アスカは靴を脱ぎ、スリッパに履き替えると、リビングへと向かった。
「おかえり。今日は早かったね」
アスカを出迎えたのは、夫のシンゴだった。ぼーっとした雰囲気のいまいち冴えない男である。
みなさん、こんにちは。
森野はにぃです。
本日、「ワンダー」7話が公開されました。
今回も春、礼央、礼の3人での会話中心です。
双子の区別って、イラストとか映像とかになった時、
どうつけたらいいんだろう……? と思い、
分け目を逆にしました。
多分、ほくろの位置も全部逆かな……?
イラストや映像のことを考えるのは、
読者の方がいかに2人を想像しやすくなるか、
ということを考えているからだったりします。
とうとう、ちょっぴりですが新キャラ(?)も登場しました。
8話ではもっと出てきますので、ぜひ読んでくださいね☆
こんにちは☆
Hayamiです。
本日、7話が配信されました!
煙草や自転車など、生活感のあるものを作中に登場させる時は、
いつもバランスを考えるのが大変です。
元喫煙者なので、煙草の件はいいとして、
自転車には乗らない(正しくは真っ直ぐ走るのが不可能に近い)ので、
自転車を乗るキャラクターにはちょっとした憧れがあります(笑)
アラサーの気持ちはアラサーにならないと、
わかんないもんよねー、なんてことも思ったり……。
次回は新キャラ登場です!
誰が出て来るのかお楽しみに!!
ぜひぜひ8話もお付き合い下さいね☆
「……」
ぴたりと彼女の独り言が止まる。それと同時に机から足を下ろすと、机の上にある煙草に手をやった。それはアスカの考えが行き詰まったことを意味していた。最後の1本を取り出すと、火をつける。アスカは思い切り肺に煙を吸い込むと、目を閉じた。
「やり方は1つじゃない……。だけど、どうすればいい?」
誰もいない事務所で誰かに問いかけるようにアスカは言う。無論、それは自分に対する問いかけにしか過ぎない。
あっという間に煙草は短くなり、アスカは仕方なく、灰皿に煙草を押しつけた。細く揺れる煙にアスカは溜め息をつく。煙草がなくなったのが、仕事終了の合図だった。彼女は帰り支度を済ませると、戸締りと火の元を確認し、電気を消して、事務所を後にした。彼女の自宅は事務所から自転車で10分程度のところにあるので、通勤は決まって自転車だった。雨の日も彼女は河童を着て、自転車で通勤する。健康の為、という建前はあったが、本当の理由は年齢を重ねるごとに少しずつ出っ張って来た下腹を引っ込める為だった。中年太りをするにはまだ早い、と思っていたが、20代も後半に差し掛かると、身体は正直なもので、10代とは違った動きをし始める。それから逃れるように、アスカは自転車通勤で気を紛らわせていた。しかし、残念ながら、彼女は効果をさほど感じられてはいなかった。
みなさん、こんにちは。
森野はにぃです。
本日、「ワンダー」6話が公開されました。
今回も春、礼央、礼の3人での会話中心です。
会話文だけ、というわれではないので、
毎回読んで下さる方にはちょっぴり退屈かな……
なんて、心配してます……。
7話ではとうとう新キャラ(?)も登場しますので、
少しずつお話が動いていきますので、
気長にお付き合い下さいね☆