「どうぞ、召し上がって下さい」
アスカは紅茶に手をつけようとしないマキコに言った。彼女はそんなアスカを遠慮がちに見る。
「あの……ミルクってありますか?」
「ごめんなさい。ミルクは用意してないの。この紅茶はストレートで飲んだ方がおいしいから、大丈夫よ」
「……」
マキコにとっては、そういう問題ではない。マキコは口をつぐみ、砂糖を大量に入れると、紅茶に口をつけた。
「あの……それで、依頼は受けていただけるのでしょうか?」
「えぇ。受けること自体に問題ないわ。ただ金額の折り合いがつけば、といったところかしら」
「お金ならあります! パートで貯めたお金がありますから」
真剣な目をして言うマキコに「失礼」と言って、アスカは煙草に火をつけた。
たかがパートでいくらのお金があるって言うんだか……。
アスカは内心そう思ったものの、口には出さず、煙草の煙を吐き出した。
「結構、かかるわよ?」
「それは承知の上です! 300万、用意しました」
「300万!?」
パートで貯めたと言われ、アスカは50万、多くて100万程度だろうと思っていたので、心底驚いた。
「だから、お願いします! どうか、主人とあの女を別れさせて下さい!」
「……わかったわ。この依頼、正式に引き受けさせてもらうわね」
アスカは300万という大金に思わず顔がにやけそうになるのを必死で堪えながら、神妙な面持ちで言った。
みなさん、こんにちは。
森野はにぃです。
本日、「ワンダー」2話が公開されました。
今回は野島先生が初登場しています。
なぜ野島先生が白衣を着ているかの謎(?)にも後々触れていきますので、
お楽しみに!
みなさん、いかがお過ごしでしょうか?
Hayamiです。
本日、2話が配信されました!
アスカは無神経なところがありながら、
実は繊細なところもある、ということを表現したくて、
紅茶でのもてなし方に反映させることを選びました。
作品を書く時には、様々なことを調べて書くこともありますし、
今までの経験を元に書くこともあります。
今回のこの紅茶のくだりは、
今年から紅茶にハマってしまった実経験が反映されています。
ちなみにツイッタ―で、今日の紅茶をつぶやいたり、
毎晩水出しアイスティーや水出し緑茶を用意する
ハマりっぷりです(笑)
3話でも少し話が動きます。
ぜひぜひ3話も楽しみにしていて下さいね!
アスカはやかんに水を入れると、強火にかける。今時、ポットを使わないなんて珍しい、と思いながら、マキコはソファに腰を下ろした。
お湯を沸かしている間、アスカはティーポットにティーリーフを入れる。何事にも大した興味を示さないアスカだったが、紅茶にだけはこだわりがあった。キッチンの引き出しには、珍しい紅茶がいくつもストックされ、気分や来客者によって、味を変える。客であろうと、敬語をほとんど使わない無神経なところはあったが、相手によって紅茶の味を変えるなどという細やかな気遣いをする一面も彼女は持ち合わせていた。
やかんのけたたましい笛の音が事務所に鳴り響く。やかんはせわしなく、お湯か沸いたことを知らせ続けた。アスカは慌てるそぶりもなく、のんびりとした動作で火を止めると、ティーポットにお湯を注ぐ。かぐわしい紅茶の匂いが事務所に広がった。アスカはしっかり3分待って、ティーカップに紅茶を淹れた。
トレイには、ソーサの上に乗った紅茶の入ったティーカップと角砂糖、それから皿の上にはアスカが昨日買っておいたスコーンが乗せられていた。
「お待たせしました」
アスカは言うと、マキコの前に紅茶を置く。全てを置き終わると、彼女はマキコの向かいのソファに腰を下ろした。
はじめまして。
森野はにぃです。
今日から連載がスタートしました「ワンダー」にて、
BL作家として、デビュー致しました。
BL作品を執筆するのは、初めてですが、
BL好きな人にも。BLを今まで読んだことのない人にも、
楽しんでいただけるように頑張っていきます!
ブログも更新していきますので、ブログもチェックして下さいね☆
よろしくお願い致します!