小説「サークル○サークル」01-245. 「加速」

アスカは帰宅すると、ソファにどかっと腰を下ろした。
レナとの食事はひどく疲れた。神経を使い過ぎたのかもしれない。
風呂から上がったばかりのシンゴは、ソファに座るアスカを見て驚いた。
「今日は遅くなるんじゃなかったの?」
「十分遅いわよ」
アスカは壁に掛かった時計を見て言う。確かに時計は二十三時を指していた。
「ああ、バーで働いてた時のことかあるから、この時間でも早く感じるんだね」
シンゴは一人頷く。
「確かにまだ日付越えてないものね」
アスカはソファのへりに突っ伏した。
「どうしたの? やけにお疲れじゃない。何か飲む?」
キッチンからミネラルウォーターを取り出しながら、シンゴは言った。
「私にもお水頂戴」
「うん」
シンゴはミネラルウォーターを二本手に持ち、ソファに座った。
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
アスカはシンゴからミネラルウォーターを受け取ると、キャップを開けた。
「仕事、大変だったの?」
「えぇ、不倫相手と食事に行って来たの」
「それじゃあ、随分と佳境に入って来たってことだね」
「そうなるわね」
「それで疲れてるんだ」
「そうなの」
アスカはそこまで言うと、ミネラルウォーターを一気に飲み干した。あっという間に、半分が減っていた。


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