小説「サークル○サークル」01-250. 「加速」

シンゴは書斎に戻ると机に向かった。スリープしていたパソコンを立ち上げ、書き途中の小説を読み返す。見つけた誤字脱字を直しつつ、気になる言い回しも書き直していく。そうして、途中のところまでやってくると、シンゴは新しい文章を紡ぎ始めた。
パソコンの画面に向かいながら、アスカの話していたことが頭を過る。
アスカはレナをイイコだという。けれど、不倫をするのにイイコなんておかしいではないか。明らかに欲しがってはいけないとわかっているものを欲しがっているのだ。
そして、現在、その欲しがってはいけないとわかっているものを手にしている。手にしている――というよりは、奥さんとシェアしていると言った方が近いかもしれない。
どちらにせよ、不倫なんてする女の子がイイコという表現を用いられて、語られることにシンゴは違和感を覚えていた。彼女はイイコなんかではないのだ。
しかし、それと同時にシンゴはよく耳にする都合のいいフレーズを思い出してもいた。


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