小説「サークル○サークル」01-263. 「加速」

自分もこんな浮かない表情をしているのだろうか、と考えて、シンゴは作り笑いを浮かべた。そして、ユウキを見据える。
「じゃあ、一緒に行こうか」
「はい!」
ユウキは目を輝かせて、シンゴを見る。
しばらく他愛ない会話を交わし、食事を終えると、シンゴは詳細はメールすると言って、ユウキと別れた。

家に帰ってくると、すでにアスカがいた。
「あ、おかえり。どこ行ってたの?」
「コンビニに……」
「そう……。何も買わなかったの?」
「いや、昼ご飯買ったんだけど、公園で食べて来ちゃった」
「今日、天気いいものね」
ちらりとダイニングテーブルに目を遣ると、キッチンパラソルに入っている食事が目に入った。
「もしかして、これ……」
「シンゴも食べるかなーって思って、作っておいたの」
「ごめん」
「いいの、気にしないで。メールして訊けば良かったんだもの」
アスカはそう言って、苦笑した。
手洗いとうがいを済ませると、シンゴはキッチンパラソルをどけた。


dummy dummy dummy