小説「サークル○サークル」01-264. 「加速」

シンゴがキッチンパラソルをどけたのを見て、アスカは驚いた顔をする。
「無理しなくていいよ」
「いや、コンビニの菓子パンだけじゃ足りなくて」
「それならいいんだけど……。温めなくて平気?」
「ああ、このままで平気」
そう言って、シンゴは皿の中をまじまじと見た。皿の中にはエビチャーハンが入っている。
シンゴはちらりとアスカを見た。
アスカはどことなく嬉しそうだ。シンゴはソファの前にあるテーブルにお皿を置き、ソファに腰を下ろした。
「今日はなんでこんなに早く帰って来たの?」
シンゴはスプーンでチャーハンをすくい、口に運びながら訊いた。
「他の案件のチェックもないし、書かなきゃいけない書類も新しい仕事の依頼もなかったから、たまには早く帰って来て、家事でも頑張ろうかなって思って」
アスカは微笑む。
「例の件は順調なの?」
「ええ。明日の夜、不倫相手と飲みに行くことになったの」
「飲みに?」
「これでもっと不倫について詳しい話が聞けると思うわ」
「それじゃあ、別れさせられるのもあとちょっとってこと?」
シンゴはチャーハンを食べる手を止めて、アスカを見た。


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