小説「サークル○サークル」01-315. 「加速」
- 2013年07月31日
- 小説「サークル○サークル」
- サークル○サークル
「着替えて、どこに行くの? もしかして、男のところとか?」
シンゴは少しおどけて言う。真剣な顔をして言って、重い男だと思われたくなかったのだ。
「バカね。どこの男のとこに行くのよ。レナと食事することになったのよ」
「それで、そんなおめかし?」
「そういうこと」
「さっきの格好でもいいと思うけど……」
そう言うシンゴにアスカはあからさまな溜め息をついた。
「わかってないわね」
「えっ……?」
「男と会う時より、女同士で会う時の方か格好に構わなきゃいけないのよ」
「どうして?」
「どうして……って訊かれると困るけど、そういうものなのよ」
シンゴにはアスカの言っている意味が理解出来なかったが、取り敢えず、それ以上は何も言わなかった。別の質問をしたところで、自分に理解出来るとは思えなかったからだ。
「シンゴは仕事?」
「ああ、さっきまで書いてた。玄関で物音がしたから気になって、書斎から出て来たんだ」
「そうだったんだ。時間になったら、適当に出掛けるから、私のことは気にしないで大丈夫よ」
「ああ、うん」
「あ、そうだ」
「……何?」
「仕事が落ち着いたら、行きたいところがあるんだけど」
アスカの言葉にシンゴは驚いて見る。
「どこに?」
シンゴの問いに答えようとアスカが口を開こうとしたその時、アスカのケータイが鳴った。