小説「サークル○サークル」01-168. 「加速」
- 2012年10月04日
- 小説「サークル○サークル」
- サークル○サークル
昼ご飯の時間になり、リビングへと向かうと、美味しそうな匂いが立ち込めていた。ふとキッチンに目を遣ると、エプロン姿のアスカが何かを作っているようだった。
「何か作ってるの?」
シンゴの声に顔を上げると、アスカは微笑んだ。
「ちりめんじゃこのペペロンチーノよ。もうすぐ出来るわ」
アスカの言葉に少し驚きつつも、シンゴはソファに腰を下ろし、テレビをつけた。
テレビではお昼の生放送番組が最新のトレンド情報を流している。流行に疎いシンゴは初めて聞く言葉ばかりで、さっぱり意味がわからなかった。仕事柄、こういった流行にも敏感でなければいけないのにな、と思ったが、興味のあることではなかったので、いまいち、集中して聞く気にはなれずにぼーっと画面を眺めていた。シンゴはしばらくザッピングして、自分の好みの番組がないことがわかると、テレビの電源を切った。
「出来たわよ」
アスカはテーブルにちりめんじゃこのペペロンチーノを運ぶ。シンゴはソファから立ち上がると、席に着いた。