小説「サークル○サークル」01-139. 「加速」
- 2012年08月07日
- 小説「サークル○サークル」
- サークル○サークル
アスカはコートをクリーニングに出すと、急いで家に帰った。けれど、すでにシンゴの姿はなかった。きっとどこかに息抜きにでも行っているのだろう、と思い、アスカはシャワーを浴びに行く。
人を好きになることで気持ちがこんなにもやもやすることがあるなんて、今までのアスカは知らなかった。いつだって、恋愛を客観的に見て、涼しい顔をして、対峙してきたのだ。けれど、ここに来て、ヒサシと出会い、余裕がなくなっていった。本来の恋愛の形がこうであるのならば仕方がないことなのかもしれないが、アスカにとっては、自分のペースを乱されたような気がして、癪に障る。しかし、この状況に抗えないのも確かだ。
熱いシャワーを浴び、バスルームから出ると、用意していた洋服へと袖を通す。今日はバーの仕事は休みだ。このまま、今日は事務所に顔を出す必要もない。たまには料理をするのもいいかもしれない、と思ったアスカは髪を乾かすとそのままスーパーへと向かった。