小説「サークル○サークル」01-257. 「加速」

アスカはキッチンで料理をしながら、束の間の休息を楽しんでいた。
仕事から解き放たれる家で過ごす時間は、今のアスカにとって唯一ほっと出来る時間だった。
今日の夕飯は肉じゃがだ。
野菜を切って、煮込み始めると肉じゃがの匂いが鼻先をかすめた。
キッチンからリビングのソファを見ると、シンゴがくつろいでいる。
何か思い詰めた顔をしているけれど、きっと小説のことを考えているのだろう、とアスカは敢えて声をかけなかった。
シンゴは優しい。
夕飯を作ると言ったアスカに僕がやるよ、と言ってくれた。
確かに一時期、ヒサシに心を奪われていたけれど、今はヒサシと関係を持たなくて良かったと思っている。ヒサシと関係を持ってしまっていたら、シンゴに申し訳ない気持ちが勝ってしまって、きっと今一緒にいることは出来なかっただろう。
浮気なんて一時期の気の迷いだ、ということをアスカは痛感していた。
アスカは肉じゃがと味噌汁が出来上がり、シンゴの名前を呼ぶ。
はっとして笑顔で食卓テーブルにやってくるシンゴを見て、アスカは幸せを感じていた。

小説「サークル○サークル」01-256. 「加速」

アスカの帰りはいつも通り早かった。最近は夕飯の時間には帰ってくる。食材を買ってきて、すぐに夕飯の支度をするアスカは甲斐甲斐しい妻の姿に見えた。
しかし、シンゴは手放しで喜べない。そこには裏があるような気がしてならなかったからだ。
疑惑はやがて確執へと変わってしまう。
シンゴはその前に何か手を打たなければと思った。
アスカが浮気をしていたという事実は許せない。けれど、一度きりの過ちならば――、何度か繰り返されていたのだとしても、今はもう終わっているのだとしたら、シンゴは許せるかもしれない、とも思う。
結局のところ、自分のところに戻って来るなら、それでいい、ということなのかもしれない。
真相はまだわからない。けれど、そろそろ、真相を明らかにするべき時期に来ているのでは、と思っていた。
自分の中で渦巻く感情を持て余しながら、シンゴはキッチンで忙しなく料理に勤しむアスカの姿を見つめていた。
この姿に嘘がなければいいな、と思いながら――。

小説「サークル○サークル」01-255. 「加速」

アスカのケータイを見て、ターゲットとのやりとりがあれば浮気は継続されていることになる。けれど、ターゲットとのやりとりがなければ恐らく浮気は終わりを告げているだろう。
そこまで考えて、シンゴは「いや、待てよ」と思った。
アスカは仕事柄、用心深いに違いない。きっと、彼女はメールのやりとりをしていたとしても、その履歴が残らないように削除するはずだ。そして、削除したことを悟られないようメール数に違和感がないように細工をするに違いない。
シンゴはかぶりを振った。
そんなことを考えていても、何もいいことなどないのだ。
けれど、考えずにはいられない。
アスカとターゲットとの関係を知りたくて仕方がなかった。
それは嫉妬から来るものなのか、それとも、自分の平穏な生活や幸せを脅かされることに対する不安から来るものなのか、シンゴにはよくわからなかった。
しばらく考えた後、やっぱり……、とシンゴは思う。
このもやもやを解消する為にはアスカと向き合う必要があるのだ。

【森野はにぃ】エイプリルフール!


みなさん、こんちには☆

森野はにぃです。

今日から4月ですね!

エイプリルフールということで何か気の利いた嘘でもつこうかな……と思ったのですが、

結局、何も思いつけませんでした……。

嘘って難しいなぁ。

皆さんは今日、どんな嘘をつきましたか?

そして、どんな嘘をつかれましたか?

気の利いた嘘がつける大人になりたい!

そんなことを思ったエイプリルフールでした(笑)

「ワンダー」も残りわずか!

ということで、引き続き、「ワンダー」をお楽しみ下さいませ☆


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