小説「サークル○サークル」01-347. 「加速」

「バレたの」
アスカはホットミルクを半分くらい飲んだところで、口を開いた。
意外なアスカの言葉にシンゴは一瞬面食らう。
シンゴが想像していなかった返答だった。
「それはターゲットにってこと?」
「そう。ターゲットにバレたけど、依頼してきたのはレナの幼馴染の男だと思ってるみたい。だから、依頼者が誰かはバレてないわ」
「だったら、どうにでもなるんじゃないの?」
「そうなんだけど……」
アスカはそこで言葉を区切り、考え込む。
シンゴには一体アスカがなぜそこまで悩んでいるのかがわからなかった。アスカが思うより、随分と事態は単純なように思えたからだ。
「あのね……。依頼者が嘘をついてるみたいで……」
「えっ? 浮気はしてるんでしょう?」
「ええ。でも、依頼者が思ってるより、浮気の実態はひどいものだったわ。依頼者が把握してるより、ターゲットの浮気相手は多いし……」
「……多いってどのくらい?」
「レナ以外に三人もいて、尚且つ、レナはその中でも一番じゃないわ」
アスカの言葉にシンゴは息をのんだ。


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