小説「サークル○サークル」01-355. 「加速」

 食卓のテーブルに着くと、焼きたての肉のいい香りが鼻先をかすめた。
「いただきます!」と二人は声を合わせて言うと、肉にナイフを入れる。
「今日ははちみつでマリネにしてみたんだよ」
「へぇ……楽しみ!」
 アスカは嬉しそうに笑うと、肉を口に運んだ。
 肉汁が溢れ、少し遅れて甘めのソースの味が口の中に広がっていく。
「美味しい!」
「ホント!? 良かったぁ。初めてチャレンジするから、少し心配だったんだ」
「大丈夫よ。シンゴはほとんど料理失敗しないじゃない」
「そうだけど、やっぱり、新しい料理にチャレンジする時はそれなりに不安はあるよ」
「意外だなぁ」
 アスカは一緒に用意されているパンプキンスープに手を伸ばす。
「あ! これ、冷静スープなんだね」
「うん、昨日のパンプキンのクリームソースパスタのソースが余ってたからね。そこに豆乳を足して、作ったんだ」
「ホント、シンゴって料理上手よねぇ」
 アスカは感心したように言う。
「そう言ってもらえて、何よりだよ」
 シンゴは笑顔で言いながらも、アスカの様子がいつもと違うことに気が付いていた。


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